春、山荘。
風がふく
今年も水仙が黄色い頭をかしげ、風に揺れる。
ウコギも、こしあぶらも、
芽から
赤ちゃんのような小さな葉っぱに
変身したばかりだ。
その色の優しさ、
やわらかさ
そして夏、再会した木々は
はっきりと成長を遂げ
濃い緑に光を照り返して照り返して
「どんなもんだい」と、
僕らを迎える。
今はやさしく光を透す、
薄い、若い、やわらかな葉っぱたちよ。
その身に淡く踊る光を携えて・・・。

 

学習共同体には、廿日市市の吉和に山荘があり、夏には小学生自由参加の合宿が行われる。ところが冬になると訪れる人もいない。雪に閉ざされるのだ。なにせ標高は800mを超え、普通の装備では近づくこともできない。

春、受験が終わってこの山荘に行くと、何かが壊れている。水道管が壊れていたり、屋根が壊れていたり、今年は電気がつかなくなっていた。3月にある教室が山荘での卒業パーティーを企画しかけたのだが、それどころではなかった。

ゴールデンウィークの一日は、毎年修理の一日となる。

それでも山の空気はきれいで、その頃に山は水仙と山桜の時期を迎える.

そして、若い芽を見て、毎年生徒のことを思うのだ。今から伸びようとする子供たちのことを考えるのだ。もちろん伸びてほしいと思うのだ。そのサポートをしたいと思うのだ。毎年のことだ。ことしも彼らの顔が目に浮かんだ。

会長  河浜一也